●モンキーターン
レースのあり方を一変させた「モンキーターン」。その始まりは平成3年。飯田加一選手のスタンディングスタイルを応用した旋回は、サイドのかかりを飛躍的に向上させました。平成5年3月、植木通彦選手が総理杯で見せた逆転劇で話題を呼び、誰もが知るところとなりました。当初フロンティアターンと言われたモンキーはその後も進化し続けています。
愛知の若手成長株の柳沢 一選手が言います。
「足を前後に揃える人もいれば、左右に開いたままの人もいます。それぞれ違いますね」。ピッチャーの投球フォームがひとり一人異なるように、さまざまなスタイルが存在するのです。
「右足に力を入れてサイドを掛けるという選手が多いようですが、僕は左足加重です。ボートの右サイドを蹴るのではなく、中央で立つという感じですね」と話してくれました。基本の中から自分に合った方法を取り入れ、応用しているのです。
「モーターが出ている時と出ていない時では、自然と乗り方が変わるものです」という話しにも興味を惹かれました。
「出ていない時にはサイドをかけすぎないようにします。失速気味になるからです。反対に力があるモーターは、しっかりかけても大丈夫です」。
サイドをかけるために考案されたモンキーターンは現在、“スピードを殺さずにいかに旋回するか”という新たなステージに入っているのです。
原田幸哉選手の門下生としても知られる柳沢選手は、「同じことをしていたら幸哉さんを越えられないので、僕なりに自分のやり方を模索しています」と語りました。
「レース後は、必ず自分の走りを確認します。どこがいけなかったのか、どうしたら最善だったのかを振り返ります。反省したことを忘れないようにして、同じ展開になったときに活かさなくてはいけません。勝てたときでも同様です。たまたまうまくいったというのが一番いけないと思います」。一見大人しく物静かな青年は、深い考えを持ち合わせています。
「今は経験をしっかり蓄積させて土台を作る時期。常に同じターンができて初めて、モーターの状態を的確に把握できます。技術を身につけ、敏感な感覚や判断力をつけなければいけません。ペラも外注物を使用しないで試行錯誤しながら正解を見つけていくようにしています」。
千里の道も一歩からと言いますが、デビューから5年。積み重ねの成果が発揮され始めている柳沢選手。前期終盤にフライングがありましたが、これとて実力に還元できる逸材です。
「今のテーマは、記念級の選手と戦える力を身につけること。スタートに自信をつけること」。
剣道二段の柳沢選手が一流レーサーの仲間入りを果たすのもそう遠くないはずです。
|