一体、誰が蒲郡初Vを手にするのか。これまで蒲郡では結果を残すことができなかった面々が集まるだけに、シリーズの流れが読みづらい。しかも、A1レーサーは3人。絶対的な主役が見当たらないだけに、思わぬヒーローが誕生する可能性も十分。激しいバトルが期待できそうだ。

 松田祐季が優勝争いを1歩リードする。昨年10月の児島周年を制し、2015年のヤングダービー以来、2度目のG1タイトルを獲得。あらためて存在感をアピールした。今年はG1、SG戦線での活躍が大いに期待を集める。蒲郡は常々、苦手意識を公言することが多いが、今シリーズに入れば地力は一枚上。スピードとテクニックの違いを見せつけ、優勝へと突き進む。
 充実度なら青木玄太も負けていない。昨年末の平和島は節間9勝の荒稼ぎ。年間4度目の優勝を飾って2022年を締めくくった。2023年前期適用勝率は参加メンバートップ、自身キャリアハイの7.44をマークするなど、安定感は抜群だ。蒲郡では実績に乏しいが、昨年2月に優出を果たすなど、相性は決して悪くない。勢いに乗ったら白星を量産する可能性が高い。
 清水敦揮にもチャンスは十分だ。昨年の優勝は7月の若松の1回のみ。実力を考えれば物足りないが、コンスタントに優出を決めるなど、リズム自体は悪くない。昨年末のからつではオール3連対で準Vと、大いに気を吐いた。ただ、ネックになるのは蒲郡水面への対応だろう。蒲郡を走るのは2017年の8月以来。ブランクの影響が気掛かりだ。
 地元勢にも強力メンバーがそろった。その中でも、前田篤哉が優勝へ意欲を燃やす。昨年は3Vをマークするなど、2020年の新人王は着実にステップアップしている。蒲郡では展開に泣かされることも多いが、通算2優出と、これまでも見せ場は作ってきた。レースセンスは折り紙付き。次世代のエースとしてさらなるブレークを目指し、蒲郡でも結果が欲しい。
 古川誠之丹下将も虎視眈々と優勝を狙う。両者とも今年の正月開催を走ったことは、調整面では大きなアドバンテージになる。能力的には蒲郡で優勝がないのが不思議なぐらい。意地の走りに注目だ。地元勢では久田武吉島祥之はもちろん、川原涼仲道大輔ら若手レーサーの頑張りも楽しみだ。
 底力なら山地正樹も負けていない。12期守ったA1級から陥落したが、大舞台で培った経験、テクニックは色あせない。今泉友吾は昨年のG1関東地区選を制し、話題をさらった。その後はやや伸び悩んでいるが、的確なハンドルさばきには定評がある。大崩れすることは考えられない。
 荒川健太春園功太南佑典の三重トリオもV戦線を大いに盛り上げてくれそうだ。荒川、春園は本来ならG1戦線で活躍するポテンシャルを秘めている。南もレースセンスは一級品。コース不問のさばきから目が離せない。藤田靖弘は昨年12月の当地では準Vと、優勝まであと一歩まで迫った。出足、回り足をしっかり仕上げ、しぶとく展開を突く。杉田篤光も切れ味鋭い仕掛けでファンを魅了する。柘植政浩森貴洋も総合力の高さは引けを取らない。実績十分の滝沢芳行、潜在能力が高い為本智也ら若手選手がどこまでV戦線に食い込めるか。また、ボート界の最年長勝利記録を更新し続ける高塚清一の奮闘ぶりも見逃せない。