GⅢと一般戦の違いは何か。一番分かりやすいのは優勝賞金が高額になることだが、出場選手の層が厚いことも重要だ。今シリーズは、A1が12名、A2は11名、B1が22名のラインアップ。そして、企業杯(GⅢ)は基本としてB2はあっせんされない。しかも、B1のレベルも高い。今節は3点台はおろか、最も勝率の低い選手でも4.56を持っている。これにより一筋縄ではいかないレースが多くなり波乱を誘発する要因だ。

 十指に余る優勝候補の中でピックアップするのはSGボートレースクラシック(平和島)に出場していた3選手。その中でも筆頭は仲谷颯仁だ。2018年にデビューから3年4カ月で九州地区選手権を制覇。得点率トップ通過からGⅠウィナーの仲間入りを果たした。蒲郡は初めて訪れた2017年9月のPGⅠヤングダービーで銀メダル。その後は目立つ活躍こそしていないが、出場機会も少なかっただけに心配は無用だ。
 次は西村拓也。仲谷より今期のアベレージは高く、3月16日現在で7.49を残し11優出3Vを挙げている。ターンのキレ味が鋭く、まだGⅠタイトルには手が届いていないが、勝ち切るだけのポテンシャルは十分にある。当地は2020年3月に優勝している。
 松田祐季は昨秋の児島周年記念で2015年のヤングダービー(尼崎)に続く2つめのGⅠをゲット。ところが今期に入って絶不調。前期は7.42のハイスコアを叩き出したが、今期は6.21と1点以上も落としている。それでも、今年は地元の三国で8年振りのSG開催(チャレンジカップ)が待っているだけに賞金を稼ぐことが最大のミッション。当地は11月にフライング、2月は予選落ちと散々だが、汚名返上に燃えての参戦だ。
 今シリーズは前出の西村や松田を含め近畿地区から実力者が集結した。藤岡俊介は好スタートから繰り出すオープン攻撃が持ち味。鶴本崇文はモーターをしっかりと引き出しパワーでリードする。北村征嗣はどんな凡機を引いても諦めないメンタルと冷静なコーナーワークが光る。
 他では今年に入って地元の浜名湖で優勝を飾っている松下一也、今期は9期振りのA1返り咲きが視野に入っている藤田靖弘の静岡コンビはリズムを上げており侮れない。
 調子は平行線ながらも一発力を秘めている飯山泰、やや下降線ながらも上村純一木下大將もモーター次第ではV戦線に絡んで来るだろう。
 大化けの可能性を秘めているのが伏見俊介。今年は昨年末からの年またぎ開催(丸亀)でデビュー初優勝。7戦6勝の準パーフェクト劇だった。前期は自己最高の5.60を残したが、今期は出走回数が少ないながらも6.68と覚醒しつつある。伸びを引き出すスタイルで台風の目となるか。
 迎え撃つ愛知勢は最も若い中村泰平が地元のエース格を務める。4期連続でA1ボーダーをクリアして主力選手に挙げられることが多くなった。蒲郡はフレッシュルーキーに選出してもらった恩があり、出場機会も最多。ファイナルに8度も駒を進めているが、まだトップゴールを決めていないだけにGⅢで勝ち名乗りを挙げたいところだ。
 地元のA級が中村だけなのは寂しいが、花田和明橋口真樹丹下健鈴木裕隆も気合の入った走りで舟券に貢献するか。花田は前付けからの粘り込み、橋口は伸びる形に叩いての一発、丹下は水準以上にエンジンを引き出し、鈴木は握りマイとツボにハマると好配当を呼び込むだけに軽視は禁物だ。