絶対的な主役が不在。高いレベルで実力が接近しているだけに、激しいV争いが期待できそう。期末の勝負駆けもいよいよ終盤戦に突入。選手のモチベーションも高く、ボーダー近辺の選手はしっかり狙いたいところ。また、新エンジンになって約3カ月が経過。エンジン相場も徐々に固まってきた。次節には「SG第70回ボートレースダービー」が控えている。シリーズの動向はもちろんだが、ダービーに向けてエンジンもしっかりチェックしたい。

 地元の北野輝季をシリーズリーダーに指名したい。今年は優勝こそ4月の宮島の1度のみだが、GⅠ東海地区選手権、先月の常滑GⅠ周年でも予選を突破するなど、大舞台でも一定の存在感は示している。蒲郡は過去に5度の優出実績はあるが、優勝の経験がない。年齢を重ね、レース運びは洗練されている。今シリーズは蒲郡初Vの大きなチャンスと言えそうだ。
 石橋道友が調子を上げている。先月の大村、若松で2節連続Vを飾り、勝負強さをアピールした。最近はSG戦線から遠ざかっているが、底力は参加メンバー屈指。蒲郡は今年6月のGⅠ周年に出走し、惜しくも予選で涙をのんだ。走るケースが少なく、調整面での不安は否めないが、2016年1月にはV実績もあり、相性は悪くない。近況の勢いそのまま、大暴れをもくろむ。
 攻撃力なら下出卓矢前沢丈史の名前が挙がる。下出は今年の4月に徳山、戸田で2節連続Vを飾ったが、5月の児島GⅠ周年で痛恨のフライング。その後は苦しいレースが続いた。しかし、先月の常滑GⅠ周年では意地の予選突破を果たし、上昇の兆しが見えてきた。チルトを工夫しながら伸びを求め、豪快な攻めを繰り出す。前沢も今年はなかなか優勝には手が届かないが、攻撃センスは一級品。強気な走りから目が離せない。
 白水勝也も有力なV候補の一角だ。近況のリズムはいまひとつだが、豊富な経験の持ち主。エンジン出しの引き出しも多く、レースにも隙がない。総合力の高さを考えれば、大崩れは考えられない。流れを変えるためにも、そろそろ結果が欲しい。変幻自在のハンドルワークで魅了する。
 赤羽克也の安定感が際立っている。優勝には結び付いていないが、コンスタントに優出を重ね、今期の勝率はキャリアハイの7点オーバーも見えてきた。当地は2021年3月に優出の実績がある。コース不問のしぶとい走りでV戦線を盛り上げる。長岡良也は新エンジンをすでに体験済み。8月の開催では調整に悪戦苦闘しながらも、最終的には優出を果たした。その経験もアドバンテージにし、優勝を目指す。一方、赤坂俊輔は2019年3月以来の蒲郡登場。どこまで調整を合わせることができるか、手腕が問われそうだ。
 島田賢人加藤政彦も虎視眈々とチャンスをうかがう。柏野幸二は実に今年3度目の参戦。過去2度もエンジンのパワーを引き出し、着順以上のインパクトを残した。うまく歯車がかみ合えば優勝の楽しみも十分にある。後藤正宗荒川健太是澤孝宏も実力は折り紙つき。切れ味鋭い仕掛けは必見だ。
 地元勢は北野以外にも楽しみな選手がずらりとそろった。レース巧者の渡辺真至はもちろん、吉島祥之古川誠之も能力的にはA1レベル。チルト3度を駆使する仲道大輔の走りがどこまで通用するのか。熱いバトルに期待が集まる。