各レース場で一年に一度、開催されるのがGⅢ企業杯。蒲郡では「KIRIN CUP」が行われる。企業杯の特徴は、A1級レーサーのあっせんが多いことはもちろんだが、基本的にB2級選手はあっせんされない。今節も2025年前期適用勝率で4.50以下の選手は不在なことが、通常の一般戦とは異なる点だ。毎年、企業杯は準優ボーダーを巡る攻防が熱くなるが、今大会は王者・松井繁が貫禄を示すシリーズとなりそうだ。改めて実績を振り返ると、SGは12冠、GⅠは60V、そして、プロフェッショナルとして最も評価されるべき賞金獲得額は、通算41億円を超えている。不屈の精神力と卓越された調整手腕でVロードを歩むだろう。

 松井に実績では及ばなくても個性では負けないのが深川真二。徹底した前付け策でレースにスパイスを与え続けている。昨年は14優出6V、前期は129走して61勝と白星を量産した。当地では2019年2月に24場制覇を果たし、かつての苦手意識は払拭している。
 今期適用勝率3位は船岡洋一郎。昨年は14優出7Vを飾り、前期はデビュー19年目にして初の7点アベレージをマークした。2022年に宮島GⅠ周年を終盤4連勝で優勝しているように、元々1マークの決定力は持っていた。そこに安定感が加わったことで充実期を迎えている。松井、深川、船岡の3選手は、この後に若松SGボートレースクラシックを控えているだけに、勝ち癖を付けて臨みたいところだ。
 7点勝率にはわずかに届かなかった小坂尚哉だが、総合力の高い一人。今期に入っても鳴門GⅠ周年、三国GⅠ近畿地区選手権競走で予選を突破している。コースを問わない俊敏な走りでV戦線に絡んで来るだろう。
 愛知支部からは6人が参戦予定だが、適用勝率トップは前田聖文。初めてのA2級からA1級に昇格するまでに9年もかかったが、6.62、6.84と自己ベストを更新している。前期は全15節で10優出、常滑での1Vとエンジン出しがかみ合い安定した航跡を描いた。強敵の多い今シリーズだが、臆することなく挑んで欲しい。
 ネームバリューなら仲口博崇。2024年は前後期ともA2級にあまんじていたが、今年から堂々とA1級に復帰。今期に入っても各地で存在感を見せている。現在はB1級の中野夢斗八木治樹谷本幸司広瀬聖仁だが、地元で走る限りは割り増し評価が必要だ。
 他にもA1級では、井上一輝村上遼山口達也小林泰松尾拓中嶋健一郎が参戦。井上は今年に入って江戸川GⅠ周年、三国GⅠ近畿地区選手権競走で優出しており、初のSGであるオーシャンカップの出場へグッと近づいた。更にダービー勝率も7点前後と出場が狙える位置だけに自然とモチベーションが高まる。
 山口達也は、まだタイトルには手が届いていないが、SGやGⅠ経験は豊富。成績の波が激しく、季節による得手不得手がハッキリしている。夏場が主体の前期勝率は過去5年で5.92、6.02、6.38、5.63、6.48だが、冬場が主体の後期は6.83、6.87、7.12、7.35、7.04と一目瞭然。今期も宮島、児島で優勝しており今が買いのピークかもしれない。
 松尾拓は2021年に津GⅠ東海地区選手権競走でGⅠウィナーの仲間入りを果たしたが、その後はGⅠ周年記念の壁にぶち当たっている。デビュー2期目にA2級ボーダーをクリアしたようにボートレーサーとしての才能は確か。再ブレイクの時を待ちたい。
 A2級では平石和男大場敏高田明中村辰也樋口亮高橋正男三川昂暁らも舟券作戦からは欠かせない選手。特に平石は12月の当地参戦時に64号機をエース機として覚醒させた。今期は6年振りのA1級も視野に入っているだけに、巧みなコーナーワークで粘り腰を発揮するだろう。