参加メンバーを見渡して「おおっ!」と思った方は多いことだろう。そう、「ナイターキング」毒島誠が当地にやってくる。

 改めて実績を振り返るとすごいの一言。2013年9月の丸亀ボートレースメモリアルをはじめとしてSG9冠。うち7つはナイターレース場と格段の強さを誇る。また昨年は念願だった住之江SGグランプリを制して、年間獲得賞金は第1位の2億4678万6033円。令和6年の最優秀選手に選出されて、ボートレーサーの頂点に立った。
 迎えた今年は3月に尼崎周年、平和島周年とGⅠを連続V。好調に滑り出したが、よもやの落とし穴が…。5月の丸亀SGボートレースオールスター2日目にフライングの憂き目。そして2節後の平和島で今期2本目のフライング。事故点過多に加え、最低出走回数不足で2026年1月からのB2降格が決定的となった。
 7月の徳山SGオーシャンカップ終了後、長期のF休みを経て今回の当地で実戦に復帰する。この間、全国各地でトークショーなどのイベントに引っ張りだこも、毒島がもっとも輝きを放つのは水面であることはいまさら言うまでもない。当地は2020年にSGチャレンジカップを制したこともあり、レースブランクの心配は無用とみていい。ボートレース界きってのスーパースターがありったけのテクニックを駆使してファンを魅了する。
 そんな毒島にとって、92期同期の松村敏が最大のライバルとなる。陸の上ではもの静かで淡々としたたたずまいだが、いざレースになるとガラッと様変わり、アグレッシブな走りを身上とする。今年は8月津、芦屋に9月の下関でVと夏場に入って一気にペースを上げてきた。もともと仕掛けの早さには定評があり、好調の波に乗ると、とことん突っ走るタイプでもある。当地は2020年2月以来と5年9カ月ぶりの参戦となるが、烈火のスタート攻勢は必見だ。
 松村のみならず、今節は九州地区に手ごわいメンバーがそろう。まずは池永太。攻めっぷりの良さは今節でも1、2を争う存在と言っても過言ではない。当地は2020年に2度の優勝を飾るなど、実績もある。森永淳はレベルの高い調整力がセールスポイント。2014年8月に達成した現役最多となる20連勝は今なお語り草だ。いかにモーターを快速タッチに仕上げるか注目したい。安河内将はSG常連であってもおかしくないポテンシャルの持ち主。切れのあるコーナー戦だけでなく、時に見せる大胆なコース取りで見せ場をつくり出す。
 他では柴田光の存在を忘れてはいけない。1991年デビューの68期生。スロー水域を主体としたレース巧者としてならしてきた。長年積み重ねた地道な努力が実を結び、今年10月の津ボートレースダービーでSG初出場。レースに取り組む真摯(しんし)な姿勢には頭が下がる思いだ。和田兼輔は選手会兵庫支部長として辣腕(らつわん)をふるう一方で、レースでもしっかり成績をまとめて優勝争いを盛り上げる。
 迎え撃つ地元愛知勢では、佐藤博亮がリーダー格。10月5日現在では5期連続となるA1級勝負駆けの真っただ中だが、大丈夫と信じよう。小気味いいレースぶりで強力遠征陣と渡り合い、当地2度目の優勝を目指す。後藤陽介吉田慎二郎大場恒季に成長著しい近藤颯斗も負けじとしのぎを削る。
 女子では近況めきめき勝率を上げて素質開花の感がある安井瑞紀に期待。地元の永田楽も安定した力を身につけてきた。男子相手に互角の勝負に打って出る。
 最後になったが、愛知支部137期ルーキーの志賀美優(しが みゆう)林風音(はやし かざね)の2人がデビュー戦を迎える。プロレーサーとしての第一歩を温かい目で見守りたい。