スタート展示同様に枠なりの3対3でスタート。ダッシュ3艇がゼロ台ショットを決めたが、スリットから伸びて行ったのが2コースの小芦るり華。果敢に攻めて行ったが、インの中谷朋子に接触してしまい転覆してしまった。1着の中谷は「変わらず出足や回り足がいいと思うし、伸びもそんなに悪くないですよ」とスリットではコンマ17の6番手発進だったが、1マークを先取りすることができたことで足に自信を持っていた。
4カドからまくり差した山下夏鈴がバックストレッチは二番手だったが、大瀧明日香が1周2マークの絶妙ハンドルで山下まで届かせた。2着の大瀧は「この優出はうれしいですね」と喜び「ターン回りには◎が付きますね」と好みな仕上がりに納得していた。
あと一歩のところで優出を逃した山下は「2マークは流したのもあるけど、まさか(大瀧に)差されているとは思わなかった。いいエンジンではなく普通くらいの感じです」と振り返った。
スタート展示はピット離れで遅れて4コースのスローだった海野ゆかりだが、レースでは枠番通りに並び、枠なりの3対3で行われた。第8、9レースは追い風3mだったが、このレースは対岸からの左横風2m。風向きが変わっていたこともあって全艇がコンマ22から33の慎重な仕掛け。インからパワフルに運んだ谷川里江が堂々と押し切った。
2着争いも足のいい松尾夏海が二番差しから機力の差を見せつけた。松尾も元々はかなりの仕上がりだったが、4日目にゾーンから外れたため、5日目は初めてプロペラを調整した。「叩いて良くなりました。上の人はいるけど、その次ぐらいはあります」と機力が復活してご機嫌だった。
2コースから差した平山智加だったが4着が精いっぱい。「1マークは絶好の差し場だったのに…。全く進んでいませんでした」と今節はエンジンパワーのなさに苦しんでいる。
第10レースの時間帯は左横風だったが、第11レースはまた追い風に。チルト3度の土屋南を意識してスロー3者が早い踏み込み。2コースの平川香織と3コースの今井裕梨がコンマ01のスリットオーバー。インの細川裕子はコンマ01で生き残った。逃げ切った細川は「スタートでやらかしたと思ったので1マークはどんなターンをしたのか覚えていません」と吐露。「最後にスタートは放りました」とアジャストがなければ、集団フライングに加わっていただろう。
2着の土屋南は「伸びだけを求めて、そこだけは良かったです」と話し、「チルト3度にして結果は出てますけど、グイグイ伸びる感じではないです」と最終日はもうひと伸びを求めて調整を施す方針だ。
3着の今井美亜は「昼と夜で調整が難しいけど、夜の方がいいと思うし準優は合ってました」と優出メンバーが不在な特別選抜戦なら足負けはなさそうだ。
2月のGⅡレディースオールスターから始まった「蒲郡レディース4部作」もいよいよ最終章。「GⅢオールレディース・ガマの女王決定戦」が7月23日から28日まで開催されます。
2023年も下半期に突入して後期適用勝率が始まっています。今節も勝率順に出場選手をご紹介いたします。
なお、ドリームメンバーの平山智加、寺田千恵、中谷朋子、細川裕子、廣中智紗衣、小芦るり華は別コーナーを設けています。
ドリームメンバーの勝率順は、
中谷朋子(7.18)を筆頭に、
細川裕子(6.98)、
寺田千恵(6.75)、
平山智加(6.59)、
小芦るり華(6.52)、
廣中智紗衣(6.35)のラインアップです。
7位の
大瀧明日香(6.32)は無念のドリーム漏れですが、7月からはA1に返り咲いています。道中のコーナー勝負が持ち味だけに通算優勝回数は10回ですが、優出回数の130回が示す通り勝負どころは心得ています。A1在籍は17回とレベルの高い安定走行は、愛知の女子レーサーでは屈指の存在でしょう。いつも言われることですが、まだ蒲郡では優勝歴がないだけに念願のトップゴールを決めて欲しいところです。
土屋南(6.22)はA1ボーダーの6.16を超えていますが、出走回数が90走に5走届かなかったためA2です。とは言え、実力は間違いなくA1レベル。特に思い切りのあるスタートとターン力は攻撃力十分です。2024年前期審査期間に入って下関、宮島、芦屋の男女混合戦で3連続優出。男子レーサーが相手でも負けない実力を持っています。
海野ゆかり(5.98)は6月の児島で通算2000勝を達成。そのままの勢いで優勝も飾りました。7月からはA2に陥落していますが、全く悲観することはありません。また、海野は全国24場制覇へ残すは桐生と蒲郡の2場。チャンスが訪れたら目いっぱいの勝負を敢行するでしょう。
前期は事故点オーバーでB2に陥落してしまった
西村美智子(5.90)ですが、7月からはA2に復帰。スタートの速さとフライングの多さが同居しています。5月の当地ヴィーナスシリーズでは優出3着だった
金田幸子(5.89)、エンジン出しが確かな
谷川里江(5.87)と
今井裕梨(5.84)、独特の弧を描く
大豆生田蒼(5.83)も侮れない存在です。
一発力を秘めるのは
西岡成美(5.81)と
今井美亜(5.60)。西岡は前期審査期間で2着が14本だったことに対して1着は32本。快ショットから繰り出す攻めは見どころ十分です。今井美亜は6月に芦屋、若松で連続優出。徳山GⅠクイーンズクライマックスを制しているようにポテンシャルは高く、久々の優勝を狙って参戦するでしょう。
通算80Vを誇る
山川美由紀(5.59)、3月、5月に続く当地女子戦に参戦の
池田浩美(5.55)、デビュー初A2で気持ちが高まっている
平川香織(5.54)、3期連続でA1歴のある
松尾夏海(5.42)も仕上がり次第ではV戦線に絡んでくるでしょう。
松瀬弘美(5.51)はA2ボーダーの5.42をクリアしていますが、出走回数が1走足りずA2昇格を逃してしまいました。常に5点前後の勝率を残すのは、ベテランになってもコースを問わない立ち回りができるからでしょう。
犬童千秋(5.32)は3月末までは3期連続のA2ペースでしたが、4月の児島で勇み足をしてからは急降下。大きくリズムを崩してしまいました。フライング休みを消化して再スタートを切っています。
5月の当地ヴィーナスシリーズでは準優勝の
樋口由加里(5.29)。A級常連でしたが、前期は悔しい思いをしています。さばきがしっかりしているだけに2、3着で買うのが有効的でしょうか。
前期は初のA2キープに燃えていた
後藤美翼(5.17)ですが、B1に甘んじてしまいました。今期はその悔しさをバネに6月の芦屋ヴィーナスシリーズでは終盤4連勝で優勝して、2度目の美酒を味わっています。
森下愛梨(5.12)は初の5点アベレージをマーク。平均スタートタイミングがコンマ20前後のため、どうしても道中勝負になりがちですが、そこに持ち込めば競り勝つだけのテクニックは身に付けてきました。
6月の若松でフライングをしてしまった
土屋千明(5.10)ですが、A1実績が3度もあり軽視は禁物です。
なかなかリズムに乗れていない
水野望美(4.96)ですが、ホームプールなら見直しが十分に可能。モーターの後押しがあれば、悲願の地元Vを成し遂げても驚きません。
角ひとみ、
福島陽子、
栢場優子がベテランの経験を生かせば、30代の
鈴木祐美子、
鈴木成美、
向井田真紀、
村上奈穂もまだまだ伸びしろはあります。
若手ではGⅡレディースオールスターに選出された
川井萌、
野田なづき、A2も視界に入っている
山本梨菜の成長が楽しみです。
他にも唐津GⅢオールレディースを優勝した
山下夏鈴を始め、
谷口佳蓮、
吉田彩乃、
神里琴音、
中尾彩香、
大廣咲季、
本田愛らも舟券に絡んで好配当を提供したいところです。
2013年の尼崎GⅠ周年を手始めに、その年は芦屋GⅠクイーンズクライマックスも優勝。2020年には多摩川GⅠレディースチャンピオンを制して3つ目のGⅠタイトルをゲットした。教科書通りのさばきはもちろん、丘の上での言動も素晴らしく、まさにボートレーサーのお手本となる存在だ。
当地は4度の優出歴はあるものの、まだ優勝には届いていない。総合力の高さを武器に、初日から主役の座は譲らない。
勝負の世界にタラレバは禁句だが、蒲郡GⅡレディースオールスターで不良航法を取られていなければどうなっていたか…。そう思ってしまうほど、仕上がりは抜群だった。
年齢的な衰えを受け入れ、その中で何ができるのか!? 現時点でのベストを探し、尽くすことが、いつまでもハイアベレージを残せている秘訣だろう。
蒲郡は1999年の一般戦で4コース差し、2020年のGⅡレディースチャレンジカップは3コース差しと冷静な立ち回りで優勝を飾っている。
今シリーズの出場メンバーで今期適用勝率が1位で、1人だけ7点台に乗せた。病気を患っていることもあり万全の状態で走ることができなかった時期もあったが、見事に克服して自身3番目のアベレージを残した。インコースはもちろん、スロー水域からの的確な走りが際立つ。
5月の当地ヴィーナスシリーズでは、不良航法を取られながらも予選を7戦5勝のピンラッシュ。大崩れしない安定感だけでなく1着を並べられる力も持っている。
2月の当地GⅡレディースオールスターでは、3日目に痛恨のスリットオーバー。空回りしてしまったが、平凡機を水準以上に引き出していた。勝率は2期連続の7点台こそかなわなかったが、それでも6.98は愛知の女子でナンバーワン! エースの座は渡さない。
これまでGⅠで5度優出しているが、全てがGⅠレディースチャンピオンと夏場が大得意。悲願のタイトル制覇を達成させるためにも、ホームプールで弾みを付けたいところだ。
大舞台でファイナリストに名前を連ねたケースは2018年桐生のGⅠレディースチャンピオン3着と2020年鳴門のGⅡレディースオールスター4着の2回だが、直近12期の6年間で10度のA1歴を残す安定銘柄だ。
5月の当地ヴィーナスシリーズでは優出6着。特に準優で魅せたまくり差しは精度の高いハンドリングだった。
通算7度の優勝歴を残しているが、まだ当地での勲章はない。「一度は蒲郡で優勝したいです」と出身地でのVは目標の一つだ。
前期の飛躍は女子レーサーの中では群を抜いていた。1月の徳山GⅢオールレディースでは、インから逃げてデビュー初優勝。アベレージも1点以上アップさせて初のA1昇格を果たした。
内容を見ても前期147走もしてこの数字は文句なし。また優出回数も7回と上々の成績だ。
懸念材料はスタートか。6月の鳴門GⅢウエスタンヤングで勇み足をしているだけに、フライング持ちでどんなレースができるのか!? 真価が問われる。